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掻い摘んで後ろからばっさり(改

エミルクロニクルオンライン クローバーサーバーでうろつく誤爆剣士の腐れ雑記。                                     貴方の「(´_ゝ`)・・・・・・」をお待ちしています。

掻い摘んでうしろからばっさり~間奏~

「お前さぁ、次は勝つって言ってたよなぁ。アレからそろそろ二年、何やってんだ」




 大体、二年前の話。
 自分の後見役になった女に、一つ約束を取り付けた。

  『俺が、もっと強くなったら』

 その時はもう、兎に角悔しくて悔しくて。
 俺の顔の横に剣を突っ立てて、俺の腹の上を踏んずけて、ニヤニヤ哂いながら見下ろしてくるその女の。

  『いつか、もう一回戦ってくれよ』

 白いリボンのついた、黒い長い髪の毛を掻っ切って。
 防具で守られている、白い細い首の筋を掻っ捌いて。

  『次は、勝つから』

 真っ赤にしてやんないと、気が済まないと思った。


「うん、まぁ多分そろそろ負けない」



掻い摘んで後ろからばっさり:間奏~乱舞~



私服代わりの弓道着のまま外へ出ると、寒気が足元から上がってきた。
辺りは、もうすっかり冷え込んでいる。
こんな時間に何処へ行くのかと首を傾げる妻に、先に寝ていてとだけ声を掛けて、家を出る。
飛空庭を降りて、かんなと合流して、アップタウンの片隅へ。
月も出ている。街灯もある。が、流石に夜も更けたこの時間は真っ暗だ。
何を面白がっているのか、セレンディピティとセレスタインが後ろから付いてきていた。
セレンの手には、長い糸を張った棒と、見た事の無い楽器がある。
ギターに似ている気がするが、やけに小さい。バード達が使う『武器』としての楽器にはあんなものは無かった気がする。
・・・いつの間にあんなもん使うようになったんだ。

「セレスとセレンは何しに来てんだ?」

かんなが訝しげに声を掛けた。

「あたしはただの見物」
「私も見物ですけど、万が一って事もあるでしょう」

軽く答えたセレスと、溜息交じりのセレン。

「模造刀でも使えば良いのに、何だってそうわざわざ真剣を持ち出すんですか」

呆れたような顔に、そう言う事かと思い当たる。
セレンは、家の中に怪我人が入るのを好まない。
汚れる、手当てが面倒など、彼女に言わせると色々理由はあるらしいが、一番の理由は恐らく『家の中に、怪我をとても悲しむ者がいる』からだ。

かんなの宵月邸には、ヤツが養育しているとは思えないほど素直なお子様が。
俺が家主の礼拝堂は、言っちゃ悪いがお子様脳の可愛い可愛い俺の奥様が。

セレン自身も何だかんだ言って、誰かが怪我をしていると心配なのだろう。
知人友人が怪我をした、病気をしたと聴くと、落ち着き無く尻尾を振っているのをよく見る。
素直に心配だと言っても良いだろうに、このツンデレめ。・・・いや、ただの捻くれ者か。

「あと、ですね」
「あ?」
「制限時間付けましょう」

片眉を寄せて訝しげな顔をしたかんなを無視して、セレンは楽器を肩に乗せるように構えて、一節歌を謳う。
彼女がバードのスキルの一つとして使う曲だった。狩りでは滅多に使わないらしいが、俺達は練習している所をよく聞いていて、聞き慣れている曲。
フルで聴くとそこそこ長いが、切りが良い。時間を計るのには丁度良いのだろう。
・・・正直、あんまり好きではないが。

「この曲、2周したら終わりです」
「んな短ぇんじゃ、決着付かねぇだろが」

不満そうなかんなに、セレンはぴっと立てた人差し指を突きつけた。

「短時間で決着付きそうに無いからですって。今はミズノエさんも結構強いんですよ?」
「だから、」
「誰がアナタ達の傷の治療すると思ってんですか。無駄に長引いてぐったりされても困るんですよ」
「・・・でもなぁ」
「大体ですね。うっかりざっくり斬っちゃったらどうするんですか。長丁場になったら益々危ないです」

セレン曰く。ウァテス系の『回復魔法』は、どうやら本人の元々の治癒能力を高める物、らしい。
下手すると逆に悪化する事態も有得るらしいし、『蘇生魔法』などと俗称が付いた魔法も、本気で死に掛けていたら効きやしないのだ。
傷を無かった事にするような面白い魔法なんて無い。第一そんなものあったらまさに神の御業だろう。
流石に死に掛けやしないとは思うが、消耗していればそれだけ治りが遅かったり、それこそ死んだように数日間眠りこけたりもする。
少し考えて、渋々と言った様子でかんなが頷く。
しかし、どうやら曲は変えてくれそうにないので、俺もちょっと頼んでみる。

「んじゃぁ、俺からも一言。せめて、違う曲にしてくんね?」
「おや。理由は?」
「何て歌ってんのか解らないけどさ。その歌詞、・・・・・・莫迦にされてるように聞こえる」

俺の知らない言語で謳われるソレは、妙な知識を沢山持っているかんなが教えた歌だ。
きょとんと目を開いて、ややあってセレンは首を傾げた。
かんなは元より、セレスもどうやら歌詞の意味が解っているらしい。ニヤニヤと笑っている。

「まぁ、お前っぽいよな、確かに」
「ミズノエっぽいって言うか、ひふへっぽいわね」

訳が解らない。
顔を顰めると、セレンが笑った。

「意味なら後で教えてあげますよぅ」

セレンは再び楽器を構える。
曲を替えてくれる気になったのだろうか。
違う曲調、違う詩。それを幾つか繰り返して、彼女は首を捻った。

「・・・んー。やっぱり丁度良いのが思いつきません。コレが一番切りが良いんです」

溜息と一緒に、背中の翼と尻尾が萎れる。
ただでさえ常に他人を莫迦にしているような顔をしたかんなと一戦闘るのに、外の音にまで莫迦にされるのか、俺。
テンション下がりそうだ。・・・仕方ないけど。

「嫌いなら聴かなきゃ良いじゃねぇか」
「うっせ。仕方ねぇだろ、勝手に耳に入って来んだよ」

かんなに悪態を吐いて、先に歩き出したかんなの後ろに続く。
ぺたりと地べたに座り込んでいるセレン達から距離を置いて、お互いからも距離を離して、剣を抜いて向かい合う。

「・・・まぁ、アレだ。どっちにしろ」

剣を構えながら、かんなが口の端を持ち上げる。

「・・・んだよ」

同じく剣を構えて、眉間に皺を寄せる。

「本気で打ち合いになったら、音なんざ聴こえねぇだろうが」

それも、そうかもしれない。
外の音なんて拾いながらコイツと打ち合いなんてしたら、多分。

「用意良いねー?」

セレスの声が聞こえる。

「おう」
「イイヨ」

二人で応えて、お互いを見る。
かんなの顔は、笑っている。
俺の顔は多分、眉間の皺がきつくなっているだろう。

「さあ―――」

ぞわり、と首筋が寒くなった。

「――――どうぞ」

セレスの号令。
セレンの謳声。

 ――――*** ****** ****** *****,

石畳を踏む音。
かんなが、突っ込んでくる。

 ――――** ********* *******.

下から上に切り上げる刃を、上から下に落とす刃で払う。

 ――――*** ****** ****** *****,

糸が弦を擦る音。
意味どころか、発音すら理解できない言葉。
それを遮るように、耳元で風を切る音がした。
水平に払われた刀を受け止める。甲高い音が鳴る。
軽い。・・・軽い、けど、速い。

 ――――** ********* *******.
 
腕力が弱いせいか、かんなは鍔迫り合いが苦手らしい。
すぐに間合いを離してまた突っ込んでくる。
兎に角、速い。
付いて行けるだろうか・・・いや。
付いていかないと、駄目なんだけど。

 ――――*** ****** ****** *****,

莫迦にされているような謳声。
莫迦、とかんなの口が動いた。

 ――――** ********* *******.

ああ、そうだ。確かに莫迦だ。
セレンの云うとおり、模造刀でも使えばよかった。
悠長に外の音なんて聴きながら、コイツと真剣で打ち合いなんてしたら。
俺程度じゃ、マジで死ぬ。・・・と、思う。

 ――――*** ****** ****** *****,

だって、ほら。
見た感じ目が凄ぇ殺気立ってるし。
何?アンタ、本気で俺殺す気か?

 ――――** ********* *******!!

・・・・・・まぁ、俺も、そうなんですが。

 ―――** ****** **・・・・・・・・・・・・・・・,




やっぱりもう、セレンの音なんて聴こえない。

苦しい。
心臓がどくどく言って、息が上がるのが。

楽しい。
互いの剣が、テンポよく打ち合わされるのが。

嬉しい。
何よりも、コイツと同等に斬りあっていられるのが。


別に考えようとした訳では無いけど、負けた日が脳裏に浮かぶ。



どうしても、したくない事があった。
どうしても、嫌な事だった。

俺は、それを避けようとして。
拒んで、逃げて、どうにも動けなくなって。

結局、嫌な方へ駄目な方へと、足を踏み出した。

かんなに見つかった。
走っても、隠れても、見つかった。
面倒臭そうな顔をして、それでもかんなは俺を見つけた。

それなりに、俺を助けてくれようとしていて。
それでも俺は、焦っていて。

俺の一番汚い所を見たこの女を、何とかしないといけないと、そう思った。




 ――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・****,

苦しい。
心臓がどくどく言って、破裂しそうなのが。

痛い。
酷くは無いが、幾等か斬られた。薄く漂う血の匂い。

気持ち悪い。
傷口は浅いがひりひり疼く。っつか剣に付いた血舐めてんじゃねぇ吸血鬼かお前は。

もう何度目の打ち合いか。
結んで、開いて、埒が明かない。
セレンの読みは大当たりだ。制限時間でも付けないと、ぶっ倒れるまで戦っている事だろう。
・・・まぁ、兎に角。そろそろいい加減に決着付けたい。疲れてきたし。
突き立てるように伸ばされた剣を、叩いて逸らす。
ついでに片脚を上げて、相手の腹を踏みつけるように足の裏を落とす。

 ――――** ********* *******.

足を着けずに尻餅を着いた身体の上に馬乗りになって、その喉に剣を突き立てようとして。
自分の喉元にも剣が突き付けられているのに気付いて、俺は固まった。

 ――――*** ****** ****** *****,

ああ。
やっぱり。
本気で殺る気で来てましたか、かんなさん。

すいません、俺もでした。

 ――――** ********* *******.

「・・・莫迦は・・・」

このまま剣を落とせば、女の首が落ちる。
視線の下で口が動いているが、何を言っているのか聴こえない。

「・・・悪徳を避けようとして、・・・」

このまま剣を上げたら、俺の首が落ちる。
少しでも動けば殺されそうで、どう動いたらいいのか解らない。

「・・・反対の悪徳へ突っ込んで行く・・・ってな」

固まっているうちに、落ち着いてきたのだろう。
かんなの声と一緒に、耳へ音が戻ってくる。

「・・・ほら、・・・お前っぽいだろ?」

息を切らして、かんなが笑った。
何が俺っぽいんだ。意味が解らない。
そう言おうとして、喉の痛みに顔を顰める。
僅かな時間だったのに、やたらと息が上がっていて、声を出すどころではない。

 ―――Dum vitant stulti vitia,

もう一度息を吸い込んだその時に、一際高く声を上げて、セレンの歌が終った。

 ―――in contraria currunt!!


「はい、お終い。時間切れよ」

セレスの声がして、喉元から剣が引かれる。

「起きるから、剣引け。・・・そんで、退け」
「・・・・・・ぁ。・・・うん」

荒い息を整えながら、返事をする。
呆けたような声が出た。

「ミズノエさん、残念ー。引き分けですよぅ」

セレンの声を聴く。剣を引いて、立ち上がる。
一拍遅れて立ち上がったかんなが、腹を摩りながらこっちを見た。

「勝てなかったなぁ?」
「・・・・・・うぁ。そういえば」

どうやら、引き分けらしい。
「多分負けない」とは云ったが、最初の宣言どおり「次は勝つ」事はできなかったようだ。
腹を押さえながら「痛ぇ」と呟いて、それでもかんなはニヤニヤと哂って云う。

「この、ひふへ」
「煩ぇ。ひふへって云うな」

剣を鞘に収めて、息を吐く。
駄目だった。
次は、あるだろうか。

「かんなよぅ」
「んー?」
「・・・・・・次」

往生際の悪い台詞に、声が低くなった。
俺の顔はきっと、赤くなっているだろう。
かんなはやっぱりニヤニヤ哂っている。

「次なぁ、どうしようかねぇ」

ニヤニヤどころか、くつくつ哂う声が混じった。
性格悪いぞ。このどSめ。

「まぁ、考えといてやるよ」
「・・・・・・ぐ」

くるりとかんなが踵を返す。
欠伸をしながら救急箱を広げるセレスと、傷を見せろと喚くセレンに向かって、一歩。
・・・踏み出したと思ったら、もう一度くるりとこっちに向き直る。

「Dum vitant stulti vitia,in contraria currunt、だ」
「へ?」

聴こえた部分だけを口の中で反芻して、あ、と声が出た。
多分コレは、俺の嫌いな、セレンの歌だ。

「愚か者は悪徳を避けようとして、反対の悪徳へ走っていく」


どうしても、したくない事があった。
どうしても、嫌な事だった。

俺は、それを避けようとして。
拒んで、逃げて、どうにも動けなくなって。

結局、嫌な方へ駄目な方へと、足を踏み出した。


「・・・・・・・・・っ!」
「ほらな?お前っぽいだろ?」

益々顔に血が集まる。
恥ずかしいのか、怒りたいのか。
地雷すぎて、もうよく解らない。

やっぱり、俺は。
俺の一番汚い所を見たこの女を、何とかしないといけないと、そう―――

「でも、まぁ。・・・今は、そんなじゃないか」

―――思いかけて、やっぱり止めた。




同僚からゲームのサントラ借りて気に入ったので、曲買いしましたがBLでした。黒歴史。
良い子の皆さんは検索とかしちゃ駄目ですy(
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  1. 2009/01/15(木) 19:00:00|
  2. 小噺
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黐茅日華

Author:黐茅日華


マイナージャンルに走りがちな、頭の固い場末の同人屋。
書いたり描いたり塗ったり縫ったり、ノリと勢いで色々と。
ECO四葉鯖にて温いRPしたりニコ厨したり東方したり。


えrg二次にうっかり手を出す→

メーカーがBL始めて片脚入る→

いつの間にか此処に至る。



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