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掻い摘んで後ろからばっさり(改

エミルクロニクルオンライン クローバーサーバーでうろつく誤爆剣士の腐れ雑記。                                     貴方の「(´_ゝ`)・・・・・・」をお待ちしています。

掻い摘んで後ろからばっさり~間奏~

左手で、艶の良い黒髪をゆるゆると漉く。

右手で、ごわつく銀髪をくしゃりと撫でる。

左側で時折鳴る、くすんと鼻をすする音に、鼻水など垂らしてくれるなよと声を立てずに苦笑しながら。


掻い摘んで後ろからばっさり:間奏~子守唄~


 両の腿に掛る頭の重みは、気のせいか出会った頃より幾分重い。
 体躯もさる事ながら、内面も僅かな時間で急に成長した気がするのは、各々が自分なりに歩む道を見付けたせいかもしれない。
 消えていく過去に疑問を持つ余裕も無く、彼等は前を見据えて突き進む。
 何度も大切な物を失って、何度も膝を折って、時々こうして誰かに寄りかかって、それでもすぐに顔を上げるのは、強きを追い求める「ドミニオン」であるが故か、手の中に残る物を守らんとする「ヒト」であるが故か。

 「・・・・・・子供はすぐにでかくなるって、本当なんだな」

 呟いてから、彼女はふと気付いて顔をしかめた。
 この二人とは十も離れていないのに、時々自分が妙に歳を食っている気分になる。
 ・・・自分が老けたと言うよりは、実年齢より言動の幼かった彼等が急に成長したせいだと思いたい。
 膨大な知識をその脳に蓄える彼女だが、あくまでそれは「預かり物」だ。実際、その身は歳も経験もまだ若いのだから。

 「・・・ん」

 と、鼻を鳴らす音と一緒に、右脚の重みが移動する。
 見下ろすと、仰向けに寝返りを打った顔が、手の甲で目を擦っていた。

 「・・・・・・ぁ、」

 一つ二つと瞬きをして、ぼんやりと紅い目を此方に合わせる。

 「いよう。起きたか?」
 「・・・・・・あー・・・、オハヨウ」

 ゆっくり身を起こして、ミズノエは恥ずかしそうに頭を掻いた。

 「・・・何か、久々に、・・・ゴメン」
 「まぁ、気にすんな。色々あったんだろうよ」

 何があったとは聞かないし、聞いて欲しそうにする事も無い。
 聞いた処で何かできる訳でもないし、彼等とて何かして欲しいとも思っていないだろう。
 先ず、どうにかして欲しいと思えば彼等は勝手に喋るだろう。
 どうにかしようと此方が判断したら、眠っているうちに勝手に「喰らって」しまっている処だ。

 「・・・・・・うん。色々あった」
 「そか」

 返事をして、頭を撫でる。
 何をする必要も無ければ、彼にはそれで充分だから。

 「かん・・・、・・・・・・姉ちゃん」
 「ん?」
 「すまん。・・・側に居てくれて、ありがとう」
 「おう」

 茶でも煎れる、と言いながら、ミズノエは立ち上がって首を回す。

 「あ、釜の湯使うなら、沸かし直して使ってな」
 「ういよ」

 ミズノエはファーの付いた上着を脱いで、未だかんなの膝で眠る少女に掛けると、隅に据えられたコンロ代わりの大釜へと移動していった。
 ミズノエの後ろ姿を見送りながら、アレは大丈夫だと息をつく。
 膝の上ではまた一つ、くすんと鼻の鳴る音がした。
 次々落ちた水滴が、乾く暇も無く衣服を濡らす。
 すっかりびしょ濡れになった膝の辺りに、つい溜め息が出てしまう。

 「・・・・・・・・・夢にまで見て泣くなら、忘れちまえ」

 どうやら、此方はあまり大丈夫では無さそうだ。
 そう判断すると、かんなはゆっくりと少女の額に手をやって、微かな声で詞を紡ぐ。


  ――――サテ喰ラへ
  吾ハ汝ガ史ノ倉
  嘆ク験ヲ内ヘト寄セテ
  天津神ヘト翰ヲ納ス――――



 脳裏に流れ込んでいく、少女の記憶。

 銀の髪。
 大きく広がる白い翼。
 片手に握られるのは細い剣。
 頭一つ半程も上にある翠の眼が、人魚の住まう天の島から、棘のある視線で彼方を見つめ、そして。

 『――――。』

 成長を共にした親友を振り返えると、彼はとても穏やかに笑った。


 互いに笑みを浮かべて、握った拳を突き合わせて。
 彼女の手の届かぬ遠くへと、広げた翼が小さくなるのを見届ける。

 明るい景色が、じわりと歪んだ。




 「・・・・・・・・・」

 まるで己の事のように内へと積もる少女の記憶にて、かんなの目の裏が熱くなる。
 生死の差はあれ、彼女が強く心を寄せた相手を失うのは、これで二度目だ。
 二度目の傷のあおりで「一度目」の残滓も思い出してしまわないとは限らない。

 「・・・・・・悪いな。喰うぞ―――」

 喰らった記憶は、少女の中には残らない。僅かに名残が残るのみ。
 「経験した事のない」記憶の残り滓に疑問を持たぬよう、その名残すらも封じてしまう。
 それが彼等が心を育む妨げになっても、できれば笑っていて欲しいから。
 たとえ、罪悪感ではない感情に、欺満と自嘲しようとも。

 ――・・・それに。

 「かんな、茶入った」
 「おう」

 熱い湯気の立つカップを受け取って、かんなは目尻を擦る。
 首を傾げて此方を見たミズノエを何ともなく見返して、首を回す。

 何事もない時間に戻ろう。
 何事もない自分に戻ろう。
 そんなに深刻になってみたところで、実際。

 「くぁー・・・・・・脚痛ぇ」
 「セレン下ろせば? 俺運んで・・・」
 「あ、莫迦お前、カップ傾、」
 「ぇ、・・・うぁっちい!?」

 暗い気分も真面目な雰囲気も、こんな風に台無しになるのだから。
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  1. 2008/11/28(金) 23:59:00|
  2. 小噺
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黐茅日華

Author:黐茅日華


マイナージャンルに走りがちな、頭の固い場末の同人屋。
書いたり描いたり塗ったり縫ったり、ノリと勢いで色々と。
ECO四葉鯖にて温いRPしたりニコ厨したり東方したり。


えrg二次にうっかり手を出す→

メーカーがBL始めて片脚入る→

いつの間にか此処に至る。



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