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掻い摘んで後ろからばっさり(改

エミルクロニクルオンライン クローバーサーバーでうろつく誤爆剣士の腐れ雑記。                                     貴方の「(´_ゝ`)・・・・・・」をお待ちしています。

掻い摘んで後ろからばっさり:「Se"r"en」(5)

歌に包まれ小鳥は眠る
空を忘れて土の下

歌を謳いつ卵は孵る
塒離れて風の上

落つる小鳥はせめてもの
飛立つ雛の糧となりたし

石の棺に雨注ぐ
遺子の御調に天捧ぐ



さぁ、お話の続きを始めようか。

掻い摘んで後ろからばっさり:2-5(セレン)


両手からはみ出すくらいの月を過ごして、季節がぐるりと二周目を始めようとしていた頃。
セレンは、少しだけ大きくなっていました。

灰色がかっていた髪は更に色濃く、立藤から菫色に。
少なかった言葉は、以前より数を多くして。
低い身の丈は、それなりに段々と高くなり。
蚊の鳴くようだった声は、少しはっきりと聞こえるようになりました。
相変わらず文字は書けませんが、喋れるだけマシだと思っています。

今までの停滞が嘘のよう。
まるで鳥の雛のように、彼女は急に大きくなりました。

セレンディピティは、変わらず毎日セレンを訪ねていました。

陽が上って
陽が落ちて
雲が湧いて
雨が降って
風が荒れて

窓が割れそうな程の嵐になっても

まるで、昔からそうしていたように、何でもないようにやってくるものだから。

セレンは段々と忘れていきました。
いつか彼女がセレンを置いて、何処かに行ってしまう、なんて事を。

それでも。

例えセレンが忘れても。
本人だけは忘れません。

いつか自分がセレンを置いて、何処かに行ってしまう、なんて事を。

そして、それは。
本人でさえも考えていなかった形で、突然やってきたのでした。





もう真っ暗な部屋の中、セレンはふと顔を上げました。
窓がとんとん鳴っています。

風の音ではありません。
雨の音ではありません。
嵐の音でもありません。
聞き覚えのある音です。

「・・・レンディ、ですか?」

大きな窓のカーテンに、浮かんで見える黒い影。
見覚えのあるその形。
いつものように昼に来て、今日は日が落ちるよりも幾らか前に、隠れ屋へ戻っていったはずでした。
セレンは首を傾げつつ、急いで厚いカーテンを開け、閂をはずします。
日は落ちたといえまだ宵の口、誰が表をうろついているか分かりません。
白い翼を小さく畳み、彼女は胸を抱えるように、両腕で押さえて立っています。

外開きの窓をゆるりと開けて、ふらりと中に滑り込んで。
セレンディピティは、其処に倒れ込んだのです。

突然の事に驚いて、セレンはぴたりと動きを止めました。
だらりと下がった白い翼に、点々と色が散っています。
ぼんやり漂う何かの臭い。
髪の紅とは違う色。
足裏に違和感を感じて見下ろすと、絨毯は何かで湿っていました。

「・・・レンディ?」

倒れ伏したまま、セレンディピティはぴくりとも動きません。
微かに上下する肩は眠っているように見えます。

「どうしたんですか?眠ってるんですか?」

返事はありません。
小さく唸る声がします。
息は浅くて苦しそうです。
何か悪い夢でも見ているのかもしれません。

「もう。お腹を下にして寝るからです」

セレンは少し苦労して、彼女にはまだ重たい大人の体を、ゆっくりと仰向けにしました。

と。

セレンディピティの白い服、押さえていた胸の辺りに裂目があって、真っ赤な物が一面に染みています。

「・・・、何ですか・・・これ」

裂目を覗くとその下も、真っ赤な裂目が覘いています。
まるで。
夕餉に出されるぶ厚い肉に、ナイフを入れた時のよう。

「――――――!!」

切れているんだ、と。
少し長い時間をかけて、漸くセレンは気付きました。

「・・・・・・たい・・・へん」

切傷からは、じわじわと血が湧いています。
擦り傷から血をにじませるくらいなら、セレンにも経験がありますが、切った傷など初めて見ました。
しかし、沢山血が出ると、「しんでしまう」かもしれないのだと、セレンディピティに教わったのです。
血抜きをされて綺麗になった「すてーきのおにく」とは違うのです。

セレンディピティには、深そうな切目が入っていました。
血も沢山出ています。死んでしまうかもしれません。
それでも。
セレンには、どうしたら裂目を塞げるのか、分かりません。
セレンディピティのように、傷を治す歌も魔法も使えないのです。
困った末に、部屋の隅の洗面台からタオルを取って濡らすと、擦り傷を治療する時のように、裂目の辺りをぐるりと拭きました。
しかし、どんどん湧き出る朱い水は、少しも綺麗になりません。
それでは、溢したお水を拭く時のように、乾いた布ならどうでしょう。
濡らしてしまったタオルのかわりに、今度はシーツを引きずってきて、セレンディピティの胸の切目に当ててみます。
ごしごしと擦ったら切口が広がってしまいそうな気がしたので、そっと端っこを充てがいました。
みるみるうちに白いシーツが真っ赤になるので、慌ててシーツを塊にまとめ、そのまま押さえてみましたが、赤い色は薄い縁からじわじわと染みてきます。

段々と胸の辺りが苦しくなりました。
何とかしたいのに、どうしたら良いのか分かりません。
暴れだしたいような、閉じ籠ってしまいたいような、そんな不思議な気持ちでした。
鼻の奥が、何だかつんと痛くなってきます。
目玉の後ろがじんわり熱くなり、突然回りの景色が歪みました。

「・・・っ・・・・・・ぅ・・・?」

頬の辺りが一瞬だけ暖かくなり、すっと冷えていきます。
シーツを押さえる手の上に、ぽたぽたと水玉が落ちてきました。

ひく、としゃくりあげる息がうっとおしくて。
にじむ視界がとても邪魔で。
暖かい水が、自分の目から落ちてくるのは分かるのに、止める方法が解りません。
加えて、セレンディピティが見えなくなるのが怖くて、目を閉じることもできません。

「・・・っく、ひっ・・・、ふぇ・・・っ・・・」

どうしようと焦る度、しゃくり上げる声も段々大きくなります。
ままならない己の身に、益々涙が止まりません。

と。

「・・・・・・・・・せ、れ・・・ん?」

自分の声に混じって、小さな音がします。

「・・・なに・・・、・・・ない・・・て・・・、・・・の?」

まぶたを擦って目を開けると、少しはっきりした視界の中で、赤い目がこちらを見ているのに気付きました。

「!・・・・・・レン、っ・・・」

はっきりと言葉にならない呼び声にも、彼女は小さく笑みを返してきます。

「・・・、血、血が、・・・止まっ・・・な、・・・!」
「ぁー・・・、こ・・・・・・ね、・・・しかた、ない・・・わ」

嗚咽混じりのセレンの言に、彼女は弱々しい声で笑いました。

「ごめ・・・ね、・・・も、と、・・・いっしょ、に・・・て、・・・あげた・・・った、ん・・・、けど・・・」

もう、無理みたい。
声にならなかったその言葉をしっかり読み取って、セレンは千切れそうなほど首を横に振ります。

「・・・あら、・・・い・・・まで、も、・・・あまえ・・・さん、は・・・だ、め・・・、のよ・・・?」

微かに眉を顰めて、セレンディピティは呟くように言いました。
言葉も紡げずに、首を振りながらしゃくりあげるだけのセレンを宥めるように、彼女は続けます。

「・・・しか・・・、ない・・・こ、ね」

仕方ない子ね。
そう言われても、セレンには涙を止められません。

「・・・だって、だって・・・レンディ、・・・し、しん・・・、しんじゃう、って」
「・・・・・・そう・・・、ね、・・・わた、・・・・・・しんじゃ、う・・・わ、ね」

また大きくしゃくりあげて、セレンは声を上げました。

「やだ、やだぁ・・・レンディ、しんじゃう、やだぁ・・・」
「・・・・・・・・セレ、ン」
「おなか、切れてるの、・・・しん、・・・やだあぁ・・・っ」

「何故」だとか。
「誰が」だとか。
「どうしたら」だとか。
まだ色々な物が足りないセレンは、そんな「お約束」も問いません。

「当たり前の文言」すら紡げない、もう見守っていけないこの子は、どうなってしまうのか。
例えばこれが、「ヒト」の手による死だったら、復讐の一つも頼んでみたかもしれないけれど。
自身を貫いた機械人形が、ドミニオンの手によるモノとは思えません。
例えば自分の探し物を、彼女も追い求めているのなら、続きを託してみたかもしれないけれど。
自身の求めた夢の続きを、真更な子供に強いるのも気が引けます。
それよりも先ず、消えて行く自分には、これ以上彼女に何を教えてやる事もできないから。
ぼんやり霞んで、どんどん消えて行く意識の中で、ふと彼女は思いつきました。

「ね・・・、セ・・・ン。・・・あなた、」

セレンが涙を拭いながら此方を見たのを確かめて、息をついでもう一つ。

「エミ・・・の、せかい・・・に、・・・いって、くれ、・・・しら?」


とんでもない夢を見ている気がします。
どんな夢かといわれても、答えられないのだけれど。

とても暖かくて、
とても冷たくて、
とても苦しい夢。

忘れたい。

忘れちゃいけない。

でも。

****さんが、**さんが、起きる音がします。
いつも最後に起きてくるあの夫婦より遅いなんて、聖職者として如何なものか。

ああ、もう。
早く。



寝た子が起きてしまったよ。
続きは・・・そうだね。
また、アナタが眠った時にでも。
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  1. 2008/11/08(土) 00:10:15|
  2. 小噺
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黐茅日華

Author:黐茅日華


マイナージャンルに走りがちな、頭の固い場末の同人屋。
書いたり描いたり塗ったり縫ったり、ノリと勢いで色々と。
ECO四葉鯖にて温いRPしたりニコ厨したり東方したり。


えrg二次にうっかり手を出す→

メーカーがBL始めて片脚入る→

いつの間にか此処に至る。



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